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クリエイターに聞け! 「ニッポンのあそこで」編 08/09/04号
第6回 08/09/04号
地図とゲームが融合した「地図エンタテインメント」という、今回のオーディションのテーマでもある「Mash Up」で、新たなゲームのジャンルを築き上げたSCEの西沢学さん。ご自身が手掛けられた、日本地図を舞台にしたPSP®(PlayStation®Portable)専用ソフト「ニッポンのあそこで」にまつわる貴重なお話を伺ってきました。

- 西沢学
SCEインターナルプロダクション部に所属する、シニアゲームデザイナー。2003年1月30日に発売されたPlayStation®2専用ソフト「オペレーターズサイド」で、初のディレクター兼ゲームデザインを担当。また、同作品の北米版「Life line」のローカライズにも携わる。2008年5月1日に発売されたPSP®専用ソフト「ニッポンのあそこで」ではディレクターとゲームデザインを務める。
「ニッポンのあそこで」が誕生したきっかけをお聞かせください
西沢学氏(以下敬称略):僕はもともと地図を見るのが好きで、「動く地図帳みたいなものが作れたらいいなぁ」と考えていたんですね。そこでPSP®が発売されて、手のひらに収まる携帯ゲーム機に日本地図がまるごと入っていたらロマンチックだなぁと思って(笑)。初めてGoogle Earthを見たときも感動したんですよ。あれって世界を手に入れた気分になるじゃないですか。その影響も大きかったと思うんですけど、もっと遊び心を加えて、色々な角度から地図に触れる楽しさをユーザーに味わってもらいたかったんです。
その「遊び心」からルーレットやチュリ(釣り)のシステムが生まれたわけですね
西沢:そうですね。僕は実際にスロットをするのも、釣りをするのも好きなんですけど、それを初めから意識していたわけではなかったんです。ユーザーが地図作りを楽しめるアイデアを色々と考えていた中から、最終的にルーレットや釣りのシステムが残った感じですね。後から振り返ってみて、意外と自分が好きなものが関わっていたんだと思いました。
でも、このゲームの内容を説明するのは非常に難しくて、「地表を泳ぐギョ(魚)を釣り上げて、建造物を出現させて日本地図を完成させるゲーム」って言っても、何の脈略もないじゃないですか。スケールの大きさだけは伝わるんですけど(笑)。
西沢さんご自身は実際に旅行に行かれたりするんですか?
西沢:実はけっこう出不精なんですよ(笑)。地図の等高線を見て「この崖は険しそうだなぁ」とか、色々と想像するのは好きなんです。どうでもいい妄想なんですけどね(笑)。
キャラクターがネズミであることは、当初から決まっていたんですか?
西沢:先に「ナビッチュ」という名前だけ決まっていたんです。それを今回キャラクターデザインをお願いした伊藤有壱さんにお伝えしたところ、「この名前からはネズミのキャラクターしか思いつかない!」と言われて、そのままネズミのキャラクターが誕生しました。
ナビッチュたちが宇宙人という設定も、当初から考えられていたんでしょうか?
西沢:そうですね。本作の世界観的なところで、日本の常識を少し違う視点から見て、日本人も気付かない日本の楽しみを気付かせる存在として、宇宙人という設定にしました。
本作には数多くの建築物が収録されていますが、デザインも大変だったのではないですか?
西沢:デザインするのはそれほど時間はかからなかったんですけど、現存する建築物をミニチュア化するにあたって、その資料があまりなかったんです。なので基本的に地図上にミニチュア化して見栄えのする建造物をピックアップして、実際に見に行ける場所は直接足を運んで見学したり、本やインターネットで調べたり……。あとは電話でパンフレットを取り寄せたりもしましたね。とにかく資料探しにはかなりの時間を費やしました。
地図上には電車や車が走っていたりと、建物以外のギミックも細かく作られていますよね
西沢:そこはプログラマーさんと戦ったところですね。「もっと動くものを減らしてほしい」「地図上に出す建物を減らしてほしい」と言われたんですが、何とか詰め込んでもらいました。東京タワーも当初はもっと立派な建物だったんですけど(笑)、少しずつポリゴン数を修正して、最終的にバランスの良い形に収まった感じですね。とにかく東京は建物が多くて、エグイことになっていましたから(笑)。僕は滋賀県出身なんですけど、当初、東京は滋賀の50倍以上のデータ量があるんですよ。流石に都会はデータも重かった(笑)。
制作中に苦労された点はありますか?
西沢:資料集めも大変だったんですけど、一番苦労したのは日本地図を立体でPSP®に収める作業かな。地図作りのゲームって、あまり存在しないじゃないですか。そのノウハウがないところからスタートして、日本地図をあの形に落とし込むという手法探しと、それをデータにするときのメモリとの戦いに苦労しました。それをさらにシームレスに動くように地図を取り込めるかというところで、細かく調整していきましたね。それこそキロバイト単位で(笑)。
テーマ曲も評判が良いですが、アーティストの福富幸宏さんとSAWAさんを起用された経緯は?
西沢:当初はテーマ曲を入れない予定だったんですけど、プロデューサーの池尻さんが「お金使っても良いから、テーマ曲作っていいよ」と言ってくれたんですね。それで外に出かけたくなるような浮遊感というか、「ニッポンのあそこで」にピッタリな曲を作ってくれそうなアーティストを探していたところ、福富さんに辿り着いたんです。そこで福富さんにコンタクトをとったところ、「面白い女の子がいる」と会わせて頂いたのが、ボーカルのSAWAさんでした。お2人ともゲームの世界観をよく理解して下さって、想像していたよりも高いクオリティの曲を作って頂いたので、本当に感謝しています。






